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桜その1

俗に言う花見というものをしたことがない。
敢えて思い出してみると「らしき」ことがあった。一つは、高校の時抽選であたったコンサートの帰り友人に誘われて会場の近くの公園で桜をながめたことだ。コンサートの余韻のせいか僕達は売店で缶ビールを買い池を覆うように咲く桜の木下で周りのまねをし乾杯。
 そこは桜の名所らしく結構な人出だった。兄さん達よ、まぁ、まぁ、まぁととなりから酒といかが回ってきた。友人はすでに赤くなってほろ酔いですっかりその輪に入っている。高校生であるから酒席など当然初めてのこと。僕も
いつの間にか少し前に聞いたショパンはどこかにいって三波春夫を合唱してる。
 その公園の桜はまるで池に自身を写すように咲き誇り、水面にまで花が咲いてるようで酔うまでも無くくらくらする風景であった。その桜は人々の歓声や嬌声など全く知らん風でただただ池に写るもうひとつの自分である桜を眺めているようでした。
 桜の木は繰り返し繰り返し風が柔らかくなると花を開くだけ、人々が居ようが居まいがそんなことは関係なく咲くのです。風と月と飛ぶ鳥の知らせで咲くのです。
 花見の酔客が帰った夜更けにも美しくその姿を池に映している。
 初めての花見のせいか僕達は帰りには駅でしこたまあげた。
 それから、思い出す限り木の下でゴザ拡げて飲み食いした記憶がない。
 いつの頃からか春四月、桜が咲いて散るその短い間ずっと思う事が続いている。
 一本の桜の老木のことだ。   
by hidesannno | 2012-02-25 23:10

随筆と詩歌
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