ぞうきんしぼり
近頃は何かに夢中になったり、熱中したりすることがめっきり少なくなった。そのかわりぼっーとしたり、無心に窓ふきしたり、ふきんや雑巾を洗ったりしてることが多々ある。何も思わず、考えずただ黙々とである。身も心も空っぽになって、時間の感覚さえ無くなる、妙なる時だ。

  ぞうきんしぼり

静かな朝に
ぞうきんを洗う
ただそれだけのことであるが
その時すでに
こころはこころとして
身は身として
わたくしとなる

静かな夜に
ぞうきんをしぼる
ただそれだけのことであるが
その時すでに
こころはこころとして
身は身として
わたくしとなる

一日の終わりに
ぞうきんをしぼる
ただそれだけのことであるが
その時すでに
こころはぞうきんとして
身はぞうきんとして
わたくしになる

一日の終わりに
考えることも
思い残すことも
なく
無心にぞうきんをしぼる
ただそれだけのことであるが
それはわたくしを
洗い
しぼり
静かに拭くことである

          2011・212 高橋秀夫
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by hidesannno | 2012-03-17 21:49

随筆と詩歌
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